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理事レポート

理事レポート

~2018年10月25日  日本労協新聞より~  
                          
 
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟   理事長  高見 優
 
 
高齢者が活き活きできる社会実現を
高見会長理事、稲月専務が日韓交流・研修ツアーで報告
 
積極的連携も確認
 1993年に世界アルツハイマーデーが制定され、25回を迎えることを記念するとともに、今後高齢化が急激に進むアジア地域で、先進的な取り組みをする日本と韓国が関係をより一層深めるために、AAJとKADが今回のツアーを共催。KADは、日本高齢者生協連合会の事業・運動組織に注目しており、シンポジウムでの報告を求められ、高見会長理事と稲月専務理事が参加しました。シンポジウムだけではなく、認知症の啓発・予防を目的にソウル昌徳宮(チャンドックン、世界遺産)を歩くウォーキングイベント(相合傘歩きゴッキ)、韓国の介護家族・専門職との交流・懇親会も。AAJは「呆け老人をかかえる家族の会」という名称でスタートし、京都に本部があります。
 私はAAJの会員(母が認知症)でもあります。高齢協組織内にも、個人的に会員になってその活動に参加していた人がかなりいたと思います。私は鈴木森夫AAJ代表理事と話し合い、今後は組織的にもより積極的に連携を深め、協力し合おうと約束しました。
 
イニシアティブ組織
 学術大会では、「若年性認知症と共に生きる」と「高齢者が主体的に生きる社会に向けて」をテーマに報告と討論。
 「若年性認知症と共に生きる」のパートでは、当事者や家族も発言。本人に合わせた取り組み、就労の柔軟な活動、社会参加の実例などが紹介されました。
 「高齢者が主体的に生きる社会に向けて」では、高見会長理事が、高齢協の歴史を簡単に説明し、「日韓が連携し、高齢協・協同組合組織を通じて社会的事業と運動を拡大・深化することで、地域社会づくりを進めていこう」と呼びかけました。
 稲月専務は、福祉・生きがい・仕事について、高齢協会員の活動をスライドで紹介し、日本の社会保障の推移を漫画で説明。「協同組合とは、希望することやニーズを一緒につくっていく組織だ」と主張しました。
 座長はまとめで、稲月専務の報告を聴いて、協同組合とは、地域で自らが主体的に参加していく「イニシアティブ組織」であること、高齢協=Senior Initiative hand in handであることを強調しました。
 学術大会で、認知症をめぐる両国の研究成果と社会全体の認識、本人と家族の生活を向上させる可能性、高齢者自身による協同組合運動の理念と実践を共有し交流を深めることが両国だけでなく、国際アルツハイマー病協会ADI加盟96ヶ国、中でもアジア太平洋地域の活動の発展につながります。
 高齢者を敬う伝統文化を持つ韓日両国が認知症の人と高齢者が活き活きと生活できる社会の実現に向かって、
手を取り合い活動を進めていくことを確認しました。
 
 
 
 

「循環型経済を考える」藤山浩氏の勉強会に参加して

  
                           ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 専務理事 武田貞彦
 
10/18労協連主催の「循環型経済を考える」藤山浩氏の勉強会に参加してきた。事前の案内の資料を見て(添付)、関心を持った。某大手のパンをスーパーで買うより、地元で焼いた、しかも地元でとれた小麦粉で焼いたパンを買った場合は、地元に回るお金は4倍になる!というもの。藤田氏は、こうした観点から、中山間地の小学校単位で、品目ごとに域内で回るお金と、域外に出ていくお金の額をはじき出し、域内で回るお金の量を増やすための施策を提言していく。
 
「何十人しか来ないガソリンスタンドに1人分の人件費は付けられない。喫茶店と合わせて、1人分の給与を確保する。合わせ技の必要。」「地域の交通手段がなくなった。お店も閉められた。地域にとって重大な問題だが、自治会では荷が重い、行政になじまない。だったら、地域の事を何でもやる会社を有志でつくろう」こうした事例がすでに全国で進んでいるという。島根県では「半農半X」(農業で収入の半分を稼ぎ、もう半分は他の仕事で稼ぐ)をすすめる、助成制度があるという。そして最も効率がいいいのが、エネルギーの地産地消、とくにバイオマス発電は欠かせない(エネルギー協同組合)。「デイサービスの車で、地域のおばあちゃんの買い物支援。やってるうちにおばあちゃんの作っている野菜をスーパーに卸すことになった。健康寿命が延びる循環型。連結決算の観点が必要」などなど。
 
地域の収入を上げ、年1%の世帯を増やす。住民300~1,000名の所では1世帯を増やせば、人口減少は1割程度で抑えられるというのが最後の結論。「本当はこんなことは、前からわかっていたんだけど、理解しようとしない(したくない)人のために、数字を駆使しました。」という藤山さん。
 
東京に住んでいる学生から「東京に住む私は何をしたらいいでしょうか?」の質問に「出汁をちゃんと取るような生活をしましょう」と答えたという。「手間暇かけた、丁寧な暮らしの中に幸せがあり、暮らしのために経済や金融がある。その逆では決してない」と強く繰り返した。
 
すでに新しい社会と経済が始まっていることをしっかりと知り、確信を持つことができた。そして、地域に必要な会社こそ、協同労働の協同組合がふさわしいと。
 
※藤山浩氏の近著「循環型経済をつくる」(農文協)は、イラストふんだんでとてもわかりやすい。
 
 
 

高齢協連合会ニュース【No.176】

 
 
~「新しい協同運動」を進めよう~          
                        
                                                                                日本高齢者生活協同組合連合会 会長理事 
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 代表理事 高見 優
 
 昨年ノーベル医学・生理学賞を受賞した大隈良典さんが、「『役に立つ』が社会をダメにする」と発言しました。目先の利益優先の研究費配分を批判し、基礎的な科学研究の重視を訴えたものです。 
 先日発表された2017予算案は社会保障費の自然増分2割強をカットする内容で、これを子どもの成長に例えれば身長・体重等の伸びを無理やり抑えるものです。超高齢社会で自然増となる医療・福祉・年金など生きるために不可欠な社会保障費が削減され、私たち高齢協の福祉事業経営も困難になるでしょう。
 
 現代の諸困難は世界史的なもので、どの国、社会においても先が見通せない状況だと思います。そういう時代であるからこそ、私たちは地に足を着け、仲間と共に支え合い、事業・運動を一歩一歩着実に進めることが重要です。
 昨年逝去された市川英彦前会長理事が私たちに託された「いのちの 協同 平和への道」の理念を共有し「新しい協同運動」を本格的に進めるときだと思います。
 役に立つ・立たない、つまり効率優先の経済至上主義の価値観に対抗するのが、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、そして連帯の価値を基礎におく協同組合です。
 
 すべての市民が、主体的に楽しく生き、働くことが保障され、一方的に支援される関係でなく誰もが当事者として対等・平等に支え合う開かれた関係を、地域を中心に築いていきたい。さらにそれを、異なる地域や国との間でも同様に、支え合う平和的な関係を構築していきましょう。
 
 そのためにも、全国の会員・組合員みんなで支え合ってゆきましょう。
 本年も、どうか宜しくお願いします。
 
 

藻谷さんの講演会に行ってきました (2015.10.15 UP)

「暮らしの豊かさ、これからの時代の働き方について ~新潟市の可能性~」          
 
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 専務理事 武田貞彦
 
 昨日(10/12)、藻谷講演に行って来ました。人口の推移比較で、新潟市、東京都、中国を取り上げ、新潟の目指すべき方向性を提案しました。全国的にも高齢化と少子化は大きな社会問題ですが、東京都は全国1の困難(暮しにくい)で、それに比較すると新潟市は、賃金は安いが、家賃、食費(親戚・ご近所からもらっている)が大変安く、保育所待機児童もなく、暮らしやすいという特徴を明らかにしました。今後は、高齢者の割合は一定してくるので、子供の割合を増やしていく施策や文化が必要であること。沖縄や九州各県が奮闘していることに触れ、東北は、大勢産んだら生活できないと考えがちだが、それら県では、「子供は宝」「みんなで助ける」といった文化があり、「あまり考えないで産んでいる」と、ユーモアを交え、話されました。新潟市は大きいので区や自治区を単位に、子育てしやすい地域を目指せと。また、大学は欧州のように無料化が必要とも。
 
 先般のニュースで生活に困った男性が新幹線で殺人、自殺した問題に触れ、男性は12万円の年金をもらっていた。家賃や食費が高く、生活が苦しかった。故郷の岩手に帰れなかったのは、野良仕事なんてできない、都会の人間でいたいという意識はなかったか?と問いかけ、新潟に住んでいたら、事件を起こさずに済んだのではと結んだ。(藻谷さんは新潟市の政策アドバイザーの4人の内の1人です)
 
 家に帰り、NHK「ふるさとの希望を旅する ~島根県海士町」を観る。なるほどと思ったのは「地域を育てる人間を育てる」という思想。地元の高校で、地域に愛着を持ってもらい、地域問題の課題を考える実践であった。廃校寸前の高校が倍率2倍となった。ネットでみたら、NHKは「地域づくりアーカイブス」を立ち上げ、地域づくりの先進事例を見れるようになっていました。「里山資本主義」とあわせ必見です。
 
※ささえあい生協の地域懇談会を活性化させ、コミュニティ協議会などにも積極的に参加していく必要性を感じました。
 
 

【報告書と管理者の職責】(2015.10.15 UP)

※注※ 当文書は2015年6月発のものです           
 
 
 
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 常務理事 栃倉幸一
 
 今年度生協方針として、業務分掌の確立を掲げています。協同労働を掲げた当生協らしい業務分掌を作り、夫々のポジションに対応した職責を明確にしていきたい。
 新年度から常務会では毎月、受信済みの前月経営会議資料について担当理事からの報告を受け、事業所支援課題を整理取り組んでいます。
 作成・提出する各管理者にとって、経営会議資料が「報告するため」のものになっていないでしょうか?管理者自身と事業所に活用することが目的です。
 ”ゆあほーむ”管理者としての私を紹介します。毎月末の「運営会議(常勤職3人)」の提案と審議で、当月のまとめ・反省と次月課題を整理し確認しています。この運営会議を受け「月度経営会議資料」をまとめています。まとめる中で不十分な点や他の課題について気付くころもあります。事業所の次月以降への活用を意識して「経営会議資料」を作成し提出しています。スタッフ共有課題は、個別伝達、協議しています。
 
「報告書提出」は「終わり」ではなく「始まり」。
その為に心掛けていることは、
①予算値と実績値の対比分析;予算立案で取り入れたことはできているか?新たにできることはないか?
②他事業所管理者への発信;できていることと、やりたいことを明確にして、求めたいアドバイスについては具体的に書く。
③事業所でやるべきこと(業務分掌)で、本部支援を求めたいことがある時は明確にする。自分一人で抱え込まないことを心掛ける。
 
管理者職責;「協同労働」と「雇われての仕事」とどこが違うのか?
 民間企業での25年間勤務、末端の職員から企業全体の企画運営責任を負う立場までの経験から言えること。民間企業でも工夫次第で、一人ひとりが個性を発揮して組織全体の力にする工夫がなされています。しかし、「雇われて働く」という立場を超えることは難しい。「自分らしさ」を仕事の中で活かすことはできますが、意思決定や意見提案では「利用者第一」が基本です。現場ではサービス内容の判断責任を負う職員とそれに従う職員という関係があるのは当然です。
ささえあい生協の管理者の職責は大きい。私がこころがけているポイントを紹介します。
①日々の業務と運営会議・全体会議を統括する。
②管理職の職責の第一は、自ら運営方針を示すこと。
③運営会議メンバー及び職員の職責を示すこと。
④職員一人ひとりが現場で、それぞれの職責によって判断を求められることがあります。判断を問われたケースについて、事後評価を踏まえて蓄積していきます。
⑤サービス提供からの職員一人ひとりの疑問・問題を取り上げ、その解決の中で共通認識を作り事業所方針とします。
⑥運営会議・全体会議や日々の現場で判断の分かれる課題に対しては、統括責任者としての判断で実行します。実行を踏まえて判断の是非を確かめます。

小山剛さんの訃報について(2015.3.18 UP)

 ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟
 理事長 高見 優
 
昨年6月のフェスタでご講演いただいた小山剛さんが、3月13日逝去されました。ご冥福をお祈りします。
 
当生協創立の動機にも影響力のある地域福祉事業の在り方を提唱され、小規模多機能型居宅介護事業が開始されると全国組織を樹立するなど、また中越地震や東日本大震災時に先頭切って被災者支援活動を始め、それを継続するシステムまでも構築されました。
 
高齢協連合会の2014全国総会の一環として、連合会会員の役職員(組合員)のほか、当生協の役職員・組合員はもちろん、地域住民や他団体・関係機関にも広く呼びかけて「新潟フェスタ」を開催した意義は大きいと思っています。
私としては、超多忙中と知りつつ無理して新潟フェスタの講師をお願いし、高齢協の仲間をはじめ多くの皆さんに話をしていただく機会を持てて本当によかったと思っています。
小山さんのお仕事から学んだことをしっかりと受け継いでいきたいものです。
小山さん、ありがとうございました。
 
<小山さんのこと:高見>
小山さんは、2/7の新潟県小規模多機能きゃたく介護事業者協議会の介護制度改定問題研修会で報告され、久しぶりにお会いし激ヤセされていたのでギョッとしました。
2/28の「老年問題セミナー2015」(長岡)は主催者であり、また報告予定者でありながら欠席され、代理して報告した吉井さんが途中涙目で声を詰まらせたのを見て、私は予感していました。
 
<大熊由紀子さんメールより> (大熊さんの了解を得て公開します)
ご本人は「ただの腰痛」と思っていたのですが、余りの痩せようと顔色にまわりの人が心配し、2月17日、しぶしぶ病院へ。その場で余命1~2カ月と知らされました。病名はすい臓がん、それも他臓器に転移し末期症状。この日は剛さんの誕生日でした。
20日までに、仕事関係の整理をすませ「かえりみなかった家族と過ごすつもり。手術も抗がん剤治療も間に合いませんので、自宅でその日まで前を向いて生きていきます」とのことでした。
 
以下は2月21日発のメールです。
お聞きおよびのとおり、まさか~の状態になっております。不摂生とか働き過ぎとか言われるのですが、これは見つかった時に手遅れがわかるという予測不能な疾病らしいです。幸いにも性格が後ろを向かないタイプですからなんとかなっています。小規模の創設、楽しかったですね~、毎日がドキドキワクワクの楽しいチャレンジの連続でしたし、本当に素晴らしい仲間たちとの出会いに感謝・感謝です。
「みんなでいい事を言いながら赤字に苦しむ会」なんて、そうそうありませんよ。でも、つよがりとやせ我慢のおかげでこんなに広がりましたし、これからも中心になる素晴らしい事業だと思います。私はもう活動できませんが、その分皆さんが活躍していただけるものと期待しています。
本来であればこれでもかと深酒をしてきたこちらからあいさつに伺わなければなりませんが、それもかないませんし、体力がもちそうにもありませんのでメールで失礼します。
みなさんの優しい気持ちを大切にその日が来るまで前向きに生きていきますのでご心配なく。素晴らしい仲間たちの事は忘れません。本当にありがとうございました。

もう一つの世の中へ (2015.3.17 UP)

 グローバル社会的経済協議体(GSEF)と連携しよう。          
 
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 専務理事 武田貞彦
 
「協同の発見」という協同総合研究所の所報がある。私たちささえあい生協も加盟している日本労働者協同組合連合会のシンクタンクである。その最新号が昨年11月にソウルで開催された「グローバル社会的経済フォーラム2014」を特集している。
2013年第1回目の社会的経済フォーラムについては、昨年3月に「にいがた協同ネット」(注1)の「韓国の社会的企業の視察」(新潟労金福祉財団の助成)でソウルを訪れたときに知った。市民活動家出身で知られる朴元淳(パク・ウオンスン)ソウル市長が、投機的な金融資本主義・新自由主義に対抗した社会的経済(注2)の拡大を世界の都市やNGOに呼びかけて実現したものである。(世界17カ国/オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、香港、イタリア、日本、フィリピン、シンガポール、イギリス、ベトナム、韓国等/約2300人が参加/「ソウル宣言」を採択)。この時の視察では、行く先々で韓国の社会的経済や社会的企業の大胆な政策展開を感じさせられた。その後、労協新聞で、第2回目の社会経済フォーラム2014が開催されること、そこに労協連としても50名からの参加をはかり、連携が開始されたことを知っていた。
 
しかし、知ってはいたが、私たちささえあい生協としての行動まではイメージできてなかった。先般、高見理事長とこの件が話題となり、「社会的経済フォーラムとの連携は、にいがた協同ネットの課題ではないか」と盛り上がった。早速、にいがた協同ネットの役員会に問題提起したり、自分でもネットでこの動きを調べてみた。そして、びっくり。すでに「ソウル宣言の会」という日本で、このグローバル社会的経済フォーラムに連携しようという動きが出来ていて、昨年11月の第2回社会的経済フォーラムに連携しようという動きが出来ていて、昨年の11月の第2回社会的経済フォーラム2014(グローバル社会的経済協議体(GSEF)を設立)には日本から100名(うち50名が労協連)からの参加があったことを知った。「ソウル宣言の会」の構成は、労協連のほか、生活クラブ生協、パルシステム生協、共生型経済推進フォーラムなどの関係者のほか大学の研究者で、一昨年の共同連新潟大会の斎藤縣三氏や、昨年のソウル視察報告会の藤井淳史氏(立教大)らの私たちにとってお馴染みの面々の参加も見られた。
 
  改めて、「2014グローバル社会的経済協議体(GSEF)」設立総会での朴元淳(パク・ウオンスン)ソウル市長の基調演説を見てみよう。
 「何よりも今、世界はいつにも増して深刻かつ重大な挑戦と危機に直面しています。貧富の格差と不平等問題、資源の枯渇とエネルギー問題、少子高齢化など低成長と働き手不足・・・世界が一緒に解決すべき地球が抱える問題として浮上してきました。世界の市民皆が共によく暮らす「もう一つの世の中」へ進むべきです。社会的経済は、我々に新しい世の中に向かう道の希望の扉を開いてくれる鍵になるでしょう。」
 
 グローバル社会的経済フォーラム2014は、ソウル市と「ソウル組織委員会」が共催。「グローバル社会的経済協議体(GSEF)」を設立させ、今後は採択された「グローバル社会的経済協議体 憲章」に則って運営される(憲章は「協同の発見」に掲載)。フォーラムには21の自治体(日本からは川崎市、世田谷区、京丹後市)、104の民間団体、国連やILO等の国際機関も参加し、参加者総数は約4000人にのぼった。次回の総会は2年後のカナダのモントリオール市で開催予定である。
 
  さて、わたしたちささえあい生協は。
 2008年リーマンショックがあり、その年の年末年始にはあの派遣村が登場した。年が明けて開講されたささえあい生協の公共職業訓練介護コースにはこのリーマンショックのために職を失った方が何名も参加したのだった。アメリカのウォール街で生まれた投機のための金融商品のために、何故、この人たちが失業しなければならなかったのか!?この人たちに何の責任があったというのか!?否応なしに繋がっているグローバル経済。
 私たちが進むべき道は社会的経済の道である。ささえあい生協は、日本高齢者生協連合会に加盟して、日本労働者協同組合に加盟し、日本協同組合連絡会に加盟し、国際協同組合同盟(ICA)に加盟している。その加盟者数は96カ国で10億人。2012年は国連が定めた国際協同組合年で、世界が抱える貧困、金融・経済危機、食糧危機、気候変動などをはじめとする現代社会の重要課題の解決に向けて、協同組合が大きな役割を果たすことを世界にアピールした。私たちささえあい生協は、私たち1人1人が意識しようがしまいが、すでに社会的経済の一翼を担っている存在なのである。さて、何から始めるのか?
 
 新潟市や新潟県に対し、グローバル社会的経済協議体(GSEF)への参加と、社会的経済政策(ささえあい生協がいまやっていることから)の推進を力強く働きかけていこうではありませんか。
 
 注1:「新潟協同ネット」:2008年全国協集会IN新潟の開催を契機に設立。加盟団体は新潟県労福協、労金福祉財団、労協センター事業団北陸本部、ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟。
 
注2:「社会的経済」:社会的経済とは、QOLの向上、貧困と疎外の克服など、社会的価値を実現するための協力と相互利益に基づき、社会的企業、協同組合、自活企業、村企業など、多様な主体により生産と消費が行なわれる経済システムのことをいいます。2014年1月はじめ、ソウル市は425の社会的企業、967の協同組合、111の村企業など、計1,503の社会的経済組織を発掘・育成しました。目に見える成長だけでなく、社会的経済政策のパラダイムシフトにも努め、社会的経済の環境を造成するのに基盤を築きました。(ソウル市公式ホームページより)
 
 
 
 

介護保険・社会保障・運動

介護保険制度への私たちの意見
 
 ささえあい生協は、全国の仲間たちと共に、日本高齢者生活協同組合連合会(以下「連合会」)を構成しています。昨年来、厚生労働省では介護保険制度見直しの作業を進めてきました。連合会では、介護保険改正へ向けて見解を示し、改正案への要望をまとめ訴えてきました。
本年4月からの法改正による施行準備作業が大詰めです。
1月9日、連合会として「介護保険制度への私たちの意見」を次のような趣旨で取りまとめ発表しました。
「私たちは、財源問題を御旗にした介護保険制度改正論議が繰り返されたことが残念でなりません。また、審議会のまとめには、私たち高齢者の立場から見て、見過ごすことのできない多くの問題があります。在宅で元気に自立して暮らし続けることを望む私たちの意見をまとめました。」(下記、連合会HPより)
日本高齢者生活協同組合連合会

具体的には次の7点を訴えています。意見全文はHPに掲載しています。
 
 1.予防給付の充実と「介護予防・日常生活支援総合事業」の財源の枠組みを撤廃することを求める
 2.処遇改善交付金の継続を望む
 3.介護員の増加につながる根本的な政策を望む
 4.訪問介護の生活援助を45 分とすることの見直しをもとめる
 5.サービス提供責任者の仕事を評価すべきである
 6.通所介護の時間区分の変更は不要である
 7.地域区分の見直しに際し、サービス毎の人件費割合の合理的変更を望む
 
 連合会加盟に加盟するささえあい生協は、この意見作成に参加してきました。
ささえあい生協として、この意見を推進する立場を以下に表明します。
とりわけ新潟県下の皆さまからご覧いただき、ご賛同をお願いする次第です。

日本高齢者生活協同組合連合会「介護保険制度への私たちの意見」賛同にあたって
 
 2012年度は、市町村第5期介護保険事業計画の初年度です。計画期間の3年で、いわゆる団塊世代が前期高齢者となります。高齢当事者として昨年来の制度改革議論を見聞きするにつけ、避けてはいけない産業構造転換を棚上げにして、介護保険単独の制度維持に集約されていることに強く違和感を覚えます。
福祉や医療を、これからの日本を支える主力産業にしていく展望が必要です。この考え方が、マスコミ等では提言されることは少なくありませんが、制度改革の中で置き去りにされているのではないでしょうか。超高齢化社会を歩む今、高齢者は「安心」が欠かせません。そして、子供や孫の世代には未来への「希望」が必要です。「安心」と「希望」を両立する国のかたちを強く望みます。
介護の社会化のために、2000年に介護保険制度が創設されました。この制度の維持は当然ですが、維持にとどまらず理念を豊かにすることを、高齢者は望んでいます。子供や孫の世代に間違いない仕組みを残すことは高齢者の責務ともいえます。
介護保険は、高齢当事者さらには要介護当事者が自ら選択することを求めたはずです。身体機能だけではなく判断能力の低下した時に、残念ながら自ら選択することが困難になります。年を重ね日々の暮らしに人の手が必要になっても、新しい豊かな生き方を支えるための資源として介護保険が創設されたはずです。その原点を私たちは忘れていません。
2000年の介護保険発足以来の制度見直しで、「制度を維持する」そして「介護する」側の声が目立ち、「介護の必要な当事者」の声が聞こえません。数少ないとはいえ、介護保険を使いこなし豊かな生き方を維持している方に光りをあて、広げていきたいものです。要介護当事者の「声なき声」に私たちは耳を傾けて、新しい制度設計に提言していきます。
ささえあい生協は、「福祉・生きがい・仕事おこし」を掲げる高齢者協同組合連合会に加盟しています。その理念は、「元気な高齢者はもっと元気に」「寝たきりにならない・しない」「一人ぼっちの高齢者をなくそう」です。昨年の東日本震災では、被災した宮城・岩手等の仲間への顔の見える支援にも取り組んできました。
ささえあい生協は2006年2月設立して以来、介護保険事業を主力事業として昨年5周年を迎えました。現在は、小規模多機能型居宅介護事業所4・小規模通所介護事業所1を運営していますが、今年中には、新たに小規模多機能型居宅介護事業所2・グループホーム1を開業します。介護事業所を、生活相談・仕事おこし・生きがい活動を三つの柱にコミュニティ福祉の拠点に育てることを課題としています。
私たちの組合は、60歳以上の組合員が60%以上を占めています。又、いわゆる団塊の世代が12%を占めています。世界に先駆けて進む超高齢化社会の中で、高齢者は必要な負担を受容する覚悟はあります。決して子や孫の世代が、未来に希望を持てない国にしたくはありません。
介護保険事業所として接する要介護当事者とその介護者ご家族と共に歩み、更に地域・コミュニティの皆さんとの連携を追及していきます。これからの制度設計へ向けて、要介護当事者の声なき声を届けていきます。
2011年 1月 24日
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟
専務理事   高見 優
(現 理事長) 

専務理事通信No.1(2010/10/13)

ささえあい生協専務理事 高見 優

 ささえあい生協で働く職員の皆さんへ、高見です。                                           (現 理事長)
 まず、次の詩を読んでください。

 私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥は私のように、地面(じべた)を速くは走れない。
 私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のように たくさんな唄は知らないよ。
 鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。         金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」

 私たちは、利用者・家族や職場の同僚・上司・部下などに対して、(お互いに)不満を抱いたり悪口を言い合ったりしがちです。でも、金子みすゞの言うとおり、小鳥や鈴でもそれぞれ素晴らしい「違うもの」を持っている存在です。ましてや人間同士は同種ですから、それ以上にみんな、違いがあってもそれぞれ素晴らしい仲間のはずです。
 しかし、過度の期待や要求をし過ぎたり、忙しくて余裕がなかったりすると、ついついぶつかってしまいます。違いや異なる意見があるのはむしろ当然です。ですから職場や法人で各種の会議を開き、問題・課題をみんなで話し合い相談して解決を図りルールを決め、決まったことはみんなで守るようにしてください。つまり民主主義の方法です。
また、必要な知識や技術は、自らも組織としても絶えず向上を図り、そのための研修(内部・外部)や職員交流会も企画・実行しましょう。(2/24は当生協・満5歳の誕生日です。ほぼ全員参加の創立記念祝賀懇親会を予定しています。)

 ささえあい生協は、協同労働を理念としています。つまり、協同で出資し自ら働き経営にも参画することで、お互いに支え合って全員経営をします。さらに「3つの協同」を掲げて、働く者同士、利用者・家族と、そして地域社会のすべての人や団体とも協同して事業・活動をしていくことを目的としています。自分を高め、よい仕事をし、私たち自身と地域のすべて人の生活と人生を豊かにしてゆくために…。 (「ささえあい生協がめざすもの」をしっかり読んでください。)

 今回は、少し長くなりましたが、これから(できれば)定期的に皆さんに私からメッセージを書きたいと思います。全職員に読んでいただき、全員から一言でもいいのでご感想やご意見、もし不満があればそれも含めて要望など、必ず、ご返信ください。管理者におかれては、私のメッセージを全員に届け、また全員の返信を保障するよう努めてください(方法は、メール・FAXなど何でも結構ですが、返信=見た証しです)。

 最後に、私は10/20~28、協同労働の本場イタリアに「理事研修」に行きます。戻ったらその成果について報告したいと考えています。

年頭挨拶

ささえあい生協 理事長 黒岩卓夫

                                       (現 顧問)

  明けましておめでとうございます。お元気で新しい年をお迎えのことと思います。年頭にあたり若干の所感を述べさせていただきます。

 介護保険制度は、今後ともじっくり時間をかけて磨きをかけ、良い制度にしていかねばならないと思います。

 その上でこの制度の弱点を3つ挙げてみます。

 1つは法で謳われたようには機能していないことです。

 端的には社会的介護を目的とし、女性を家での介護にしばりつける状態を解消するといった、画期的な制度にはほど遠いということです。

 2つには、法の第一条の目的を受けて、第2条3項にある最大限その居宅で自立的生活を支援する制度であると規定しながら、老人ホームなど施設へ、あるいは病院の療養型への大きな流れをくいとめることができないままでいることです。

 3つめには、より根本的なものであり、また微妙にこの制度の枠外に置かれていることですが、具体的なケアプランをつくる前に、ライフプランがはっきりしないということです。

 たとえば2人暮らしの老夫婦が、2人とも家で死にたいという希望をもっているとすれば、そのゴールを見据えて、家族・親族の意向、経済的条件、地域のサービスの力量、当事者の考え方を最大限明らかにし、必要あれば、医師・弁護士・社会福祉士などのアドバイスも得ながら、ライフプランを組んでみたら、どのような絵を描くことができるのかです。

 こうしたところまで展望を出してみないと、在宅ではじめたが介護度が増してゆき、お金もかかるようになり家族も限界となり、老人ホームを探したらすぐには間に合わない、やっと療養型病床に入ったが、行き場がなく、タライまわしにされているといった不幸な“生活”に陥ってしまうことがあたりまえのようになっています。これでいいのでしょうか。

 以上3点を挙げてみましたが、1と2項目は3項目に含まれると言ってもよいでしょう。要するに何よりも当事者本位の当事者に寄添ったケアをどこまで保証するかということにつきると思います。

 その上で、まず実行すべきことは当事者の希望を実現させるには家族の労働力、経済的負担を現行より半減する必要があります。と同時に現行の地域密着型を普及し、自分の家の概念を広げることによって、お互いに安心できる地域ケアシステムを推進することだと思います。

 今年もよろしくお願いします。


在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク会長 黒岩卓夫 (ささえあい生協 顧問)
NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 事務局
TEL:03-5940-3414 FAX:03-5940-3415
http://www.home-care.ne.jp/

小規模多機能が介護を楽しくする

2009年10月17日 第14回全国ケアワーカー集会
パネル討論 第2部 コミュニティケアを創造する

 

ささえ愛あわやま管理者(現 いしやま ケアマネージャー) 神保桂子さん

 

 平成15年、高齢者生協の立ち上げの運動を始め、運動が地域の皆と、平成17年7月にデイとショートを行う任意の福祉事業所「あわやま」を開業。組合員がボランティアとして運営した。

 平成18年2月、ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟を設立。当時、組合員が400人余り。4月には、小規模多機能型居宅介護サービスの新潟の指定業者第一号として、「ささえ愛あわやま」を開業。

 小規模で多機能のサービスが介護することを楽しくするものだった。

 なににもまして、利用者や家族が私たちの介護を心より喜んで満足してくれるということを実感できた。やはりケアマネージャーがいつも身近に見守っていることは、大きな安心なのだと確信した。

 それが2番目の事業所を開業するのに後押しとなり、平成19年12月、「ささえ愛きたかみ」につながった。

 続いて広い土地と大きな家の提供で、3つめの「ささえ愛わりの」を今年4月に開業。利用者はまだ少ないので苦戦しているが、多機能のサービスに夢を賭けたケアワーカー立たちが頑張っている。

 偶然だが、職員は20代~60代まで各年代にわたっている。これは豊かな介護につながるのではないか。

 常勤者の中には、任意の事業所「あわやま」でボランティアをしていた20代の若者がいる。彼らは長い間、社会から閉じこもっていたが、ヘルパー2級の資格を取得し、仕事に取り組み、大きな成果を収めている。地元紙「新潟日報」でも紹介された。

 職員はヘルパー2級でも、働いてから6カ月経てば1日リーダーを任せているが、それが成長を促している。また、介護全体を把握するのに、とても勉強になるという。

 地域密着型サービスは、地域との連携の中で進められなければならないので、運営推進会議などで情報交換をしている。また、地域の医師には、往診や緊急時の搬送先の手配など、細かい配慮を頂いている。

 そのことも利用者や家族に大きな安心になっていると思う。「ささえ愛」に見学に来た方の中には、自分たちの地域に「ぜひ小規模多機能を」と協議会をつくり、運動を起こした方がいる。「小規模多機能サービスについて考えてみませんか」と呼びかけ、現在は開業の準備を進めている。

 私たちも出来るだけ手伝いをし、ともに支え合っていきたいと思っている。

「食」と生きることの意味

在宅ケアを支える診療所・市民ネットワーク 全国の集いin名古屋2010
第1回プレ大会(09/11/1)における基調講演 のレジュメより
 
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 理事長 黒岩卓夫
(現 名誉理事長)                                     
<はじめに>                                   
 「食」について語るのはなかなか面倒である。食の評価は切り口によって、思想・信条・趣向・体調・経済性によっても全くちがってくるからだ。
 そこで私の個人的な趣向から3つの食べ方について述べてみたい。
 第一は栄養学的な食べ方である。栄養素のバランスやエネルギーの多寡が中心で、さらに病状によって修正される病人食もこれに入る。
 第二は、趣向的から芸術的(アート)な食べ方である。食べ方というより料理の仕方や考え方から食をみた方がよいと思う。
 この筋での料理人であり“美食家”の第一人者は北大路魯山人だと思う。魯山人の料理の基本は食材の新鮮さ(旬と取りたて)と料理人のもてなしの心である。
 彼は料理を芸術とみなし、同時にそれまでの日本料理のあり方をすっかり変えた人物と称されている。彼にとっては、自然の恵みを自らの体内に取り込み、大自然と人間との合一を愉しむことであり、同時に自他への洞察、料理に対する認識と愛、すなわち「悟り」であると述べている。
 こう言ってもよくわからないと思うが、彼の有名な料理名を参考までに幾つか挙げておこう。
 納豆雑炊、天ぷら茶漬、魯山人式鴨すき焼、味噌汁、茄子の唐揚げなどである。
 第三には仏教、とりわけ禅宗での“食べる”ということを紹介する。いわゆる精進料理に通ずるものである。
 仏教(主として禅宗)でいう「五(ご)観(かん)の偈(げ)」を見てみよう。妙心寺東林院(京都)の精進料理をいただく時に念ずるものを例に挙げてみたい。
 
<五観の偈>
一つ、食事にかけられた多くの人への感謝(功の多少を計り、彼(か)の来(らい)処(しょ)を量る)
二つ、自分は食べるだけの徳行をしてきたか(己が得行の全欠(せんけつ)とはかって供(く)に応ず)
三つ、食べ物に不満をいだかず、食べ過ぎ、貧りの愚かな心をおこさない
  (心(しん)を防ぎ(ふせぎ)、過(とが)を離(はなれ)るることは貧(とん)行(こう)を宗(しゅう)とす)
四つ、食事は飢えや渇きをいやし、心身の枯死を免れる良薬と思う
  (正に良薬を事とするは、形枯(ぎょうこ)を療(りょう)せんが為なり)
五つ、仏の子として正しい生き方を全うするために、今この食を頂戴する
  (成道(じょうどう)の為(ため)の故に(ゆえに)、今(いま)この食(じき)を受(うけ)く)
 食べるということ、料理するということをこのように見てくると、現在高齢者の食はどうも現実的過ぎて息がつまるような気がしてならない。介護食、ミキサー食、誤嚥対策、さらには経管栄養となってくる。生命を保つためのエネルギーをひたすらに補給するということになるが、こうした現実のなかでも、食物をつくること食べることが人間本来の営みであることを取戻すことができないものかと考えてしまう。動物扱いをしている方が間違っているかもしれないのだ。
 
<食べること生きること>
 先日脳梗塞で倒れ、経鼻管で退院してきたおばあちゃんが在宅ケアになった。介護者は息子さんで栄養は半固形食を1日5回注入するというものであった。家族は自分で食べられずそのままになってもいいからカテーテルを抜去してくれという。10日程気持の変わらない事を確かめて抜去した。
 おばあちゃんはカテーテルが抜かれるや一瞬、さわやかな美しい表情になった。さっそく水を飲んでもらおうと、おそるおそる口に注ぐとおいしそうにゴクンと飲み干した。二口、三口と同様に。
 飲むこと食べることってこれなんだと見守る者たちは安堵の空気に包まれた。その後ほとんど何でも食べ、言葉も出てきた。食べることは文字通り生きることの証しであり、他と繋がることの基本的な手段であることと改めて確信した。  

報告:全国地域包括ケア推進会議

厚労省老健局老人保健課主催の全国地域包括ケア推進会議(第1回)

11月17日、ささえあい生協黒岩卓夫理事長が下記の会議に出席しました。会議の内容について報告します。

21年11月25日
NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク
会長 黒岩卓夫
 
11月17日 10時~11時40分 於・厚労省

1、趣旨
 急速な高齢化の進展の中で、都市部での高齢化、独居の高齢者や認知症高齢者の増加が進むものと見込まれている。こうした状況に対応するためには、保健、医療、介護、福祉、住まい及び地域生活支援サービス等を包括的に提供して高齢者等を支援する、いわゆる地域包括ケアの普及推進を図り、高齢者が尊厳を保持して地域で自立した生活を送ることができる体制を着実に整備することが必要である。
 このため、今般、現下の経済情勢が厳しい中で良質な介護人材を確保するとともに、高齢者の日常生活における課題やニーズを把握して介護サービス提供体制の拡充を図るため、本会議を設置する。
 
2、構成
1.本会議は、山井厚生労働大臣政務官が開催するものとし、本会議の構成団体を参集する。
2.本会議の構成団体は別紙のとおりとする。なお、構成団体は必要に応じて追加することができる。
3.この会議に必要な事項は別に定める。
4.本会議の庶務は厚生労働省老健局において行う。

 黒岩はNPO在宅ネット代表で、なお在宅療養支援診療所連絡会は鈴木副会長が出席。
 出席者は団体名でリストアップ。日本医師会をはじめとして50余団体。
 黒岩はちょうど「長寿医療センター」と「さわやか福祉財団」(堀田理事長出席)の間の席であった。

3、テーマ
1.雇用対策の施策の介護現場への広報、利用促進
2.介護職員処遇改善交付金の円滑な実施のための周知徹底
3.介護サービスの地域ニーズ・課題の把握、サービス提供の拡充 
 
 会議の進行はテーマをそれぞれ担当者が資料に基づいて説明(10人位が発言)、その後20分位が質疑にあてられた。  
 説明はテーマの通りで、雇用緊急対策を新政権や強力にやらねばならないところから提起されている。ジャンルは介護・環境・農水の3分野に求めており、最も期待されるのが介護分野のようだ。  
 介護では、都市部での人員不足を埋め、さらに全国的に雇用拡大をということになる。  
 私は、人員不足(担い手不足)は職場の魅力や報酬の低さにある以上、その根本に対策をし、かつ配置要件が低すぎることを私のかかわっているグループホーム(利用者平均年齢92歳、全員看取っている)では、職員は燃え尽き直前であることを例に挙げて要望した。  
 今回この会議で、診療所の役割など議論されるのではとの見方もあったが、その場ではなかった。新政権が病院重視等から、診療所医療の軽視、さらに在宅医療にもブレーキをかける危惧があり、この点には今後とも注視し、アピール等をしなければならないと考える。  
 今回のテーマでの要望にも各事業所できっちり対応していただきたい。
以上報告まで。

裁判員制度を検証する

市民の裁判参加(上)

※2008年11月27日「奈良新聞」掲載 司法の犯罪は防げるか【裁判員制度を検証する】39
新潟陪審友の会 高見 優
 
■司法権を独占する官僚裁判官
 裁判員法が制定され国民が司法参画することが決まった数年前、ある友人から電話がかかってきました。
 「高見さんが言っていたことが本当に実現するのね。まさかこうなるとは思っていなかったので、脱帽です…!」
 司法制度改革を目指して学習会や講演会を開き、『市民の手に裁判を』(「新潟陪審友の会」編集、一九九八年、尚学社)を出版したりして長年頑張ってきた私たち自身も、自分の目の黒いうちは難しいだろうと考えていたくらいですから、友人が驚くのも無理からぬことです。しかし、いよいよ来年五月から「裁判員制度」が始まるというのに、今なお賛否両論が飛び交っています。そこで私の考えを、少し述べさせていただきたいと思います。
 まず第一に、私たちにとって裁判とはいったい何でしょうか? 言うまでもなく近代民主主義社会においては「主権が国民に存(し)」、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理で」す(日本国憲法前文)。したがって、国政=立法・行政・司法の三権すべては、国民の代表者が行なうことになります。
 ところがわが国では、立法・行政については選挙などを通じて国民が曲がりなりにも権力を行使してきましたが、司法権だけは官僚裁判官が独占してきました。長年そういう状態が続いたため、国民の多くはそれが当たり前だと思い込んできた・思い込まされてきたのです。
 医療・介護の領域で「廃用症候群」という言葉がありますが、これは、たとえば筋肉を長期間使わないことにより筋肉が弱ってしまうことを表わします。これと同じように、長年「寝たきり」の状態にある国民の司法権は、筋力が弱っているどころか戦後一度も権限を行使したことがないので、どのように動かしていいのか分からないのです。
 戦後間もなく文部省が作成した教科書『民主主義』(上・下、一九四八・一九四九年)には、次のような記述があります。
 「日本人の間には、封建時代からのしきたりで、政治は自分たちの仕事ではないという考え方がいまだに残っている」「民主主義を実現するためには、各個人が政治に参与することが、不可欠」「たいせつな政治を、人任せでなく、自分たちの仕事として行なうという気持ちこそ、民主国家の国民の第一の心構えでなければならない」
 そうです。裁判は私たち国民の「自分たちの仕事」なのです。日本の常識は諸外国の非常識のようで、「日本の判事は有罪判決を出し続けてタフだなあ…」「日本では陪審員がやる仕事を裁判官が行なっています!」と報道されたことがあります(英国BBCテレビ)。
 私たちは九〇年代以降、市民の政治の実現を呼びかけ既成の政治にチャレンジしています。主に立法府(議会)や行政(首長)についてですが、司法改革も政策の柱の一つに据えました(筆者著「市民新党にいがたの挑戦―私たちの政策と新しい社会への展望」白順社、一九九六年)。国民の政治参加の意識は、戦後から今日までの間で変化したでしょうか? 全国各地で環境や福祉、人権のボランティア活動などは、かなり拡大・前進しているようです。しかし行政頼り(官僚任せ)でまだまだ不十分だという見方もあるでしょう。しかし、今回裁判員制度が導入されれば、今までその所在地すら知らなかった国民の多くが初めて裁判所の門をくぐることになるので、少なくとも形の上では大きな変化です。しかし、裁判は形だけで考えては危険です。裁判は人権保障と正義の確立が不可欠です。
 
■まずは制度の開始重要 問題点は改革へ
 私が言いたいことの第二は、不十分な点があってもまずは裁判員制度を開始し、刑事司法の問題点については国民全体の課題として国民自身が改革していくべきだ、ということです。これまで日弁連や市民団体が、冤罪(えんざい)事件の被害者を支援したり国連人権委員会などに報告したりして日本の刑事司法改革を試みたにもかかわらず、残念ながらも目標とした改善はほとんどなされていません。ですから裁判員制導入に批判的な人は、問題だらけの現行刑事司法の改革無しに国民を司法参加させることは危険だ、と決めつけています。
 確かに裁判員制度が開始されても、刑事裁判の誤判・冤罪や人権侵害の恐れは解消されないかもしれません。多くの方が本欄で指摘しているとおり、裁判員制度と現行の刑事手続の運用には重大な問題があり、捜査の在り方、被疑者・被告人の身柄拘束、自白調書や証拠の取り扱い、検察官上訴など早急に変更すべき点が幾つかあります。私もそれらの大部分に賛成です。しかし、だからと言って、裁判員制度にストップをかけることには反対です。
 裁判員の経験等を通じて司法に関心が寄せることになる多数の国民が現行裁判の欠陥を正しく理解できるように、これまで改革に取り組んできた人々が絶えず注意を喚起しながら、刑事司法の真の改革の道をともに切り開いて行くことこそが最も重要だ、と私は考えています。
 
 ◇次回は、国民が裁判に参画することの実質的なメリットについて述べます。
 
 

市民の裁判参加(下)

※2008年12月11日「奈良新聞」掲載 司法の犯罪は防げるか【裁判員制度を検証する】40
新潟陪審友の会 高見 優

私たち日本国民に裁判する能力はあるか?もちろんあります。本年はわが国の陪審法施行八十周年の年です。戦前施行された陪審裁判について、参加した司法関係者・国民の大多数が肯定的な評価をしています。戦前の国民にできたことが、戦後の私たちにやれないはずはありません。ただし、よりよい裁判制度にしていく努力は必要です。

■改革していく絶好のチャンス
 周知のとおり誤判・冤罪(えんざい)事件が繰り返されています。無実の人が有罪にされることも、犯罪者が裁かれず被害者が泣き寝入りさせられることも、社会正義に反します。これらはいずれも、警察・検察の捜査を含む今の裁判の在り方に重大な問題があります。ですから、裁判員制度の導入に際してそれらの問題を改善しなければなりません。しかしこれまでの間、司法関係者だけでは改革がほとんど進んでいません。でもこれからは、多数の市民が刑事裁判に参画していくことになりますので、改革していく絶好のチャンスです。
 もともと裁判は、職業裁判官より市民の判断の方が優れているとされてきました。「刑事裁判の事実認定の権限を裁判官から取り上げて陪審員に一任し、裁判官には法律適用権のみ委ねる」(モンテスキウ「法の精神」)、「…判断に際して、無知なもの(市民)は直感によって判断するから、法律に通じた者(裁判官)が不確かな見解から判断するよりも、誤りに陥ることが少ない…。」(ベッカリーア「犯罪と刑罰」)。
 裁判官は、法律の専門家であっても他分野の素人であり、恐らくフリーター・非正規雇用の工員などの経験はないでしょう。人間の性格・生い立ち・生活体験などは千差万別で性別や年齢の違いも大きいわけですから、複雑で入り組んだ多数の要因によって発生する刑事事件については、人間の心情に対する経験則や常識が非常に重要です。と同時に、さまざまな偏見を持っているのも人間です。でもこれは、裁判官も裁判員(市民)も同じでしょう。
 本欄にも登場したデュポールは、裁判官は被告人に対して「優越的関係」にあり、犯罪を見慣れて感動がひからび判断が硬直しているから、生活者の細やかな日常感覚によって微妙なニュアンスの証言をしっかりと見定めて判断する市民たちによる判定に委ねるべきだ、と言っています(「近代刑事訴訟法の真髄デュポール報告について」(沢登佳人・法政理論一七巻三号)。
 このように長年の歴史の経験知からみて、「市民による裁判の方がよい」というのが古今東西の偉大な学者の一致した結論なのです。
 現代社会はモノにあふれ、政治・経済・文化すべての面で高度化・多様化・複雑化した反面、自然が破壊され人間関係が希薄になり新たな問題も生まれました。特に近年は、格差・分断が進み人々の社会連帯のきずなが失われたためか、毎日のように新たな驚くべき事件が起きています。何かがおかしい・どこか変だと感じている人が多いのではないでしょうか。
 しかし、もともと社会はその構成員がつくり上げてきたものですから、社会的事件(特に刑事事件)は社会全体(全構成員)が利害当事者です。ここに裁判員制度の根拠の一つがあり、それは自治の問題なのです。「構成員の一部を締め出すような社会は脆弱な社会である」と言われます。社会の在り方次第で、住民は息苦しく住みにくくなったり、豊かで明るくなったりします。
 
■就任は民主主義社会における重要な義務
 私たちは、所得や資産の一部を納税して社会のために提供します。それと同じように一定の時間を提供して裁判員に就任し、刑事裁判に奉仕するのです。納税も裁判員就任も、民主主義社会における市民の重要な義務です。
 戦前の滅私奉公の反動のせいか戦後の今日まで流行している滅公奉私でなく、健全な社会では公と私の両方が大事だと思います。世論調査で税にも裁判員にも反対が多いのは、税の使途に不満がある・裁判参画の意義がわからないなどの理由があるからでしょう。しかし、税が正しく使われ裁判が公正に行なわれる社会にしていくのは、私たち市民の責任です。
 来年五月以降、読者のあなたが裁判員として法廷にいるかもしれません。通常人としての生活体験と常識を持ち、法廷で見聴きした印象をもとに納得のいくまで討論し、自らの良心に従って判断(内的確信=自由心証)を下せばよいのです。
 いまだに多くの人が誤解しているのは、書面(言葉)です。中には、公判記録を書面にして裁判員の評議に役立たせよという意見すら出されていますが、それはとんでもないことです。言葉は表現の一部にすぎず、そのときの口調、アクセント、視線、表情など、すなわち「言葉よりも百倍も真実のしみこんだ全体的言語活動」(デュポール)を観察し・読み取り・感じることが重要なのです。同じ理由で、また直接主義に反するので、供述書面は証拠になり得ません。
 裁判員裁判が捜査手続きなどを改善して実施されるようになれば、市民が地域社会の矛盾や病理に気付いてその問題の解決策を考え、自治と民主主義の発展に寄与するようになっていくのではないか。そして、「万人は一人のために・一人は万人のために」という理念に沿って生活するのが当たり前の社会になればいいのになあ、と私は夢見ています。
 
プロフィール:高見 優(たかみ ゆう)
一九四七年、京都市生まれ。京大理学部卒業。学生時代に新潟水俣病事件の支援と研究のため新潟に移住。人権、環境、労働などの社会運動に関わり、「新潟陪審友の会」、映画「阿賀に生きる」製作委員会などの事務局長を歴任。現在、地域福祉を担う「ささえあい生協新潟」理事長、社会福祉士。
 

映画「休暇」を観て

理事長 高見 優(社会福祉士)

 久しぶりにいい映画を観た。吉村昭の原作を三十代の監督・脚本家・プロデューサーらが仕上げた秀作だ。
 金田死刑囚(西島秀俊)が収容されている拘置所のベテラン刑務官平井(小林薫)は、独身の真面目な中年。夫と死別した子持ちの美香(大塚寧々)と結婚することになったが、休暇が取れないので新婚旅行はしないと決めていた。ところが披露宴の数日前、死刑執行の予定を知らされた平井は悩むのだ。誰もが嫌がる死刑囚のからだを支えて絶命させる職務を志願したら、一週間の特別休暇が付与されるという。打ち解けない六歳の息子に慣れてほしいと美香に言われていたから、ゆっくりできるチャンスかも…。
 映画は、登場人物の心の襞(ひだ)を細やかに描いていく。金田のモノクロのスケッチと息子の子どもらしい色彩豊かな絵の対比。面会に来た妹と金田は一言も発しない、塀の外に出た妹が突然泣き出す。ふだんは温和な上司の主任刑務官(大杉漣)が、そんなにしてまでハネムーン休暇がほしいかと平井に掴みかかる。死刑執行と新婚旅行、絶望と希望、死と生、過去と未来、そして公と私…、それらは連続しているのだと言いたげだ。
 執行の模様は、ここでは触れないほうがいいだろう。披露宴に出席した同僚たちは豪華な料理を一口も食べられない。平井は新婚旅行中、執行の様子を思い出して気分が悪くなりトイレで嘔吐したり、夜中にうなされたりする。寝小便をした息子を抱きしめる平井の手にあの温もりが残っている感触が、観客の私にも伝わってくる。
 金田がいかなる罪で死刑になったのか。「人は必ず変わる」~映画に拘置所長役で出演した元刑務官坂本敏夫の実体験に基づく言葉だ。一人の人間の命を多数の公務員の手で殺めさせること―それが死刑という名の国家による殺人=死刑制度だ。その瞬間、私たちは「殺人犯」と同じ地位に引きずり下ろされる。大勢の手で死刑執行命令書に判子を押す冒頭のシーン、その手の一つは私たちのものに違いない。
 折りしも五月から裁判員制度がスタートする。主権者である私たちは、この社会の出来事すべてに関係があるだけでなく、重要な政治権力(三権)の行使につき責務があるからだ。
 裁判とは、犯罪事実の原因と責任の所在について明らかにしたうえで本人と関係者・社会がともに反省し、問題解決の道と今後の対策を探る場なのだ。「理解することは赦(ゆる)すこと。」
 ともあれ、命と暮らし・家族、社会などについて止めどなく思いが巡るこの映画を、多くの人に観てほしいと思った。

小規模多機能居宅介護事業への挑戦とその手応え

労協新聞2009年1月5日掲載分 小規模多機能居宅介護~春には3つめオープン
ささえあいコミュニティ生活協同組合新潟 理事長 高見 優
 
 介護保険法の改正により地域密着型サービスが導入された06年、新潟高齢協(ささえあい生協)が設立。真っ先に「小規模多機能居宅介護」に挑戦し、春には3つめの事務所がオープンします。
 高齢者が住み慣れた地域で支えあいながら、自立した暮らしを続けられるように援助する、それが小規模多機能型居宅介護など、地域密着型サービスです。
 05年、高齢協設立がなかなか進まない時、必要としている利用者がいるのだから、まず事業を始めようと、25人の準備会メンバーで資金を出し民家を借り上げて準備。自治会や関係者にチラシを配布し協力を求めると、テレビや台所用品などを寄贈してくださる近隣住民が現れ、ボランティアで利用者のお世話をしてくれる人が見つかりました。
 3名の利用者を24時間交代で介護する活動を半年ほど続ける中で、法人設立と介護保険指定事業所開設へ進みました。
 事業所の経営、特に資金繰りや介護の在り方などに関して難問が続出しましたが、組織全体の力を結集しました。また、地域への理解を求めるために、地域のゴミステーションを毎日掃除、利用者さんと出かけた日には近所におみやげを配り、火災訓練を町内会と一緒に取り組んだりと努力した結果、ようやく軌道に乗りました。
 今では現場スタッフを中心に、事業計画・収支予算の立案からその執行まで自律的に行うようになりつつあります。
 1号店「ささえ愛あわやま」に続いて、2号店「ささえ愛きたかみ」を地元の医師、看護師、介護士らを中心に準備を進め、2年目にオープンしました。2つの小規模多機能事業所の設立と運営の経験で、私たちはこの事業の確かな手ごたえを感じています。
 今年4月には、第3号店を土地・建物の所有者に協力で始める予定です。
 ささえあい生協の事業の成功を知って、他の地域から自分たちもやってみたいという要望が寄せられています。自治体関係者も関心を示しています。新しい事業所を始めたい組合員が協議を始めました。
 事業所のスタッフは10代から70代まで、中には長年引きこもりしていた青年も数人います。高齢者の介護により、利用者もスタッフもよい関係が築かれれば、互いに癒されるのかもしれません。これらはまさしくスタッフと利用者、住民、地域の「協同」ではないでしょうか
 私たちは、地域密着介護サービスを軸にしながら、これからは多世代にわたる地域のさまざまなニーズにも対応できる福祉・生きがい・仕事おこしの事業・活動を推進していきたいと考えています。

新潟県内介護人材の確保・定着のために

理事 阿部 はるえ [社会福祉士]
(介護の社会化を進める新潟県の会事務局長)
 
(社)新潟県地域総合研究所とともに、新潟県内で働く介護労働者の実態に関する調査を行った。<調査対象者:(社)新潟県介護福祉士会会員並びに新潟県ホームヘルパー協議会会員 計2200人。調査方法:質問紙郵送法。調査基準日:原則2007年8月1日。回収結果:有効回収数425人> 介護労働者の雇用の改善・向上を図るための県内行政への政策提言は以下の通りである。
 
~ 県内行政の課題 ~
 第1に、県内行政には地域の運動体として、国に対して介護職員の労働環境の改善を目指した介護報酬と人員基準の引き上げを要望する姿勢が求められる。
 第2に、2004年に厚生労働省労働基準局は「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」を出し、その概要を明記したパンフレットを作成している。しかし、本調査によれば、労働条件の明示では、訪問介護員の「特になかった」(7.9%)・「口頭で示された」(20.0%)、訪問介護員の非サービス時間の賃金の支払いは、移動時間の「ない」(41.9%)、報告書等作成時間の「ない」(44.5%)、事業所待機時間の「ない」(39.4%)など、未だに「労働条件の明示」、「労働時間及びその把握」等が経営者に理解されているとは言えない状況にある。法定労働条件を確保するための周知を事業者に早急に行う必要がある。
 第3に、本調査によれば、保険は、正社員で「加入している」割合は、「雇用保険」93.0%・「自己名義の健康保険」86.8%・「自己名義の厚生年金」85.3%であったが、「労災保険」は72.4%に留まっていた。事業者の指定・更新、指導監督時に、労働関係法規の遵守と社会保険の加入を確認することが求められる。
 第4に、研修である。本調査によれば「介護技術を高める上での問題点」では、「金銭の余裕がない」(27.1%)、「社内に能力や知識を高める機会がない」(26.4%)が上位に挙げられていた。介護保険に関する計画策定主体の県内行政は、人材確保や育成に責任を持ち、研修を充実させて支援する必要がある。また、研修に参加できなかった事業所への対策として、研修内容の情報提供が求められる。
 「仕事で困っていることや問題」の問いに、「経営者の姿勢に問題がある」(29.4%)、「職場の介護職員との人間関係が難しい」(介護職員9位・37.2%、訪問介護員17位・15.5%)が上位に挙げられていた。自由記述においても「上役が部下を統率できていない」「経営者に福祉経験がない」などの指摘がみられた。こうしたことから、経営者を対象として、福祉教育や介護実習、職員の介護意欲を引き出し、満足度を高めるための人事・労務管理に関する研修会の開催が望まれる。
 第5に、介護労働者の健康対策である。本調査によれば、健康状態は、全体では、「どちらかといえば悪い」・「悪い」を合わせた割合は17.5%であった。睡眠では、全体で「眠れない」・「どちらかといえば眠れない」を合わせた割合17.7%であった。「仕事で困っていることや問題」では、全体で「肉体的にきつい」(23.8%)、職種別で「感染症の危険がある」(介護職員12位・28.4%、訪問介護員10位・21.6%)が上位に挙げられている。
 「利用者の家族との人間関係に苦労する」(介護職員24位・12.6%、訪問介護員13位・20.2%)など精神的ストレスもある。介護は、体力的にきつく、人間関係によって成立する、専門性のある仕事である。感染症に関する予防対策は毎年行う必要があろう。体の健康対策のみならず、精神面の健康対策・相談体制作りが望まれる。
 第6に、本調査によれば、介護労働者の約90%が女性であり、約70%に配偶者がいて子どもがいる。仕事の満足度は、雇用形態別では「どちらかといえば不満」・「不満」を合わせた割合は、正社員が、常勤の非正社員・短時間労働の非正社員・派遣労働者よりも高かった。
 仕事と生活の両立は、雇用形態別では「両立できていない」・「どちらかといえば両立できていない」を合わせた割合も正社員が最も高かった。「今の職場で働き続けたい」・「今の職場を辞めて他の介護事業者で働きたい」を合わせた割合は、正社員(76.1%)が他の雇用形態よりも低く、「今の職場を辞めて介護以外の職場で働きたい」とする割合は、正社員(9.2%)が最も高かった。
 「仕事で困っていることや問題」の項目で、正社員が他の雇用形態よりも15%以上高かった項目として「休暇がとりにくい」(正社員42.7%、常勤の非正社員25.0%、短時間労働の非正社員12.5%、派遣労働者0%)があった。自由記述には、「正社員に仕事量が偏る」との意見がみられた。健康状態は、雇用形態別では、「良い」・「どちらかといえば良い」を合わせた割合は、正社員(58.9%)が他の雇用形態よりも低かった。
 正社員として採用されたものの、仕事と生活の両立は難しく、働き続けることが困難な状況に置かれている正社員の労働環境の実態が示唆される。
 一方、外国人労働者の導入に、「反対」の割合は「賛成」の約4倍であった。また2人に1人が「まず日本人の人材確保を優先すべきだ」と回答している。
 こうした現状を踏まえて、新潟県においては、外国人労働者の導入を視野に入れつつも、女性の視点に立って、年次有給休暇の取得、育児・介護休業の取得、労働時間の短縮、職場内保育の充実、男性の家庭参加の推進など、正社員が働きやすい労働環境を積極的に作ることが必要である。また、非正社員の安上がり労働からの脱却、同一労働同一賃金を目指して非正社員の雇用を改善することである。そのために、県内行政は、経営者を対象とした研修会や、事業者の指導監督時などで事業者に啓発をしつつ、事業者指定・更新にはこうした条件を評価項目に加えて審査することが重要である。
 第7に、定着率の高い新潟県内事業者の実践事例を集めた取組みの紹介事業である。実践事例は報告集やインターネット、研修会等を活用して広く紹介することが望ましい。
 第8に、介護人材の掘り起こしを行うために、介護労働に対する理解を深め、また介護労働のやりがいや魅力、意義に関して広く県民に向けて周知し、社会へアピールすることが大切である。

小規模多機能型事業者協議会の研修会に参加して

理事 蛯原 勝
 
 
 2月10日(日)、新潟卸センターで開かれた「新潟県小規模多機能型居宅介護事業者協議会」の定期研修会に参加してきました。最初に小山剛会長が「開会挨拶と直近の情報」をお話になりました。この中で、認知症グループホームや小規模多機能の許認可をめぐる「ぶっちゃけた話」(あえて詳細は秘す)が聞けて有益でした。公式情報ではなかなかわからないことが、こうした会合では具体的に得られるので、足を運んだ甲斐がそれだけでもありました。
 事例報告Ⅰは、「ももの木」さん(刈羽)の歌代晃さんから、「災害時における小規模多機能の実際と課題」という標題で行われました。中越沖地震の際、私はレスキューバイク隊として刈羽入りして、「ももの木」周辺にも出動していたので、とても関心がありました。
 ただ、当時は災害ボラセンでは「ももの木」はグループホームであると理解されていましたし、行政やボラセンからは積極的な支援があまりなされなかったとのことで、そうした点は残念に思いました。とりわけ、利用者の中に村外者がいることをもって、行政としては支援できない云々という話があったそうで、何をかいわんやと思います。
 「ももの木」では地震発生後直ちにプロパンガスコンロと発電機を業者に発注して、翌日から稼動させたとのことでした。建物の被害が軽微だったこともあって、避難所を利用したのは1日だけで、翌日から事業所をほぼ平常どおりに運営できたとのことで、これはささえあいの各事業所にとっても大きな教訓とできると思います。また、職員は短時間の勤務に変更して毎日出勤するなど、献身的に業務に取り組んだとのことで、頭の下がる思いです。
 事例報告Ⅱは、「プラット笹崎」さん(長岡)の土田武千代さんから「住宅併設の小規模多機能の実際と課題」という標題で行われました。土田さんは旧知の社会福祉士で、介護支援専門員の登録番号が2番だった方です。
 「プラット笹崎」は、住宅型有料老人ホーム「アシスト笹崎」の1階部分に併設された小規模多機能です。「プラット笹崎」を含めた「アシスト笹崎」はながおか医療生協の3つ目の拠点施設とのことでした。住宅型有料老人ホームとの併設に関しては、高齢者専用賃貸住宅との併設も考慮されたそうですが、結果的に現在の形になったとのことでした。
 因みに、「アシスト笹崎」の月額利用料(1人部屋)は、家賃:6万2千円、管理・共益費:約4万5千円、食費:約5万2千円、合計:約16万円弱です。これを高いと見るか安いと見るか。私としては、ささえあいでこの種の有料老人ホーム事業に取り組むのならば、生保世帯でも入居できるくらいの金額に設定してはどうかと思います。豪華なマンション風の老人ホームもいいでしょうが、昔ながらの長屋風のものも悪くないと思います。
 最後に、土田さんはプレゼンテーションにも長けていて、こうした点でも我々は大いに学ぶ必要があるように思いました。早速ですが、理事・職員向けにパワーポイント等の講習会を開いてはどうかと考えています。(賛同者求む!)
 
◆ 主催者の「新潟県小規模多機能型居宅介護事業者連絡協議会」は、県内の事業所がゆるやかにネットワークして小規模で家庭的な個別ケアの推進と地域ケアの向上等をめざすことを目的として、2007年9月に結成されました(事務局:長岡市の「美沢」。「ささえ愛あわやま」も発起人となり、現在役員を引き受けています。なお、小規模多機能型居宅介護の事業所数は、全国で1,263事業所、新潟県内では52事業所です(2007年12月末現在)。
ささえあいコミュニティ
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高齢者が主体となり、経験や知恵を出し合い、福祉事業を始め、ニーズにあった事業展開を目指しましょう。仲間と一緒にささえあい生きがいをつくり出す全県規模の生活協同組合です。

 
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